ヒューマンエラー防止は、管理者の仕事
2024/1/23配信
「続・コンサルの現場 No.41」
2024年早々、羽田空港にて大事故が発生いたしました。これは明らかにヒューマンエラーといわれています。
今回は、そのヒューマンエラーを考察してみます。
ヒューマンエラー防止は、管理者の仕事
◆ ヒューマンエラーとは
ヒューマンエラーとは、人が起こすミスや事故のことです。
人間はうっかり、勘違い、思い込みを起こすものとして事業の作業や運営を図っていくべきです。
しかし、今年の羽田空港の事故は、重大なインシデント(重大な事故や事件)です。
つまり普段は問題ないが、一人の人の間違いが大きな事故につながることになります。
この事故原因は、航空機を操るには随分なハイテク技術が投入されているかとおもいきや、管制官と機長のアナログ交信による誤解と管制塔の確認不足のヒューマンエラーです。
一方、着陸した航空機側は、夜間の滑走路にいた海上保安機が見えなかったとのことによります。
これも着陸時に目視が必要であるという、アナログ確認なのです。
また、航空機の過去のヒューマンエラーでは、2008年に無許可による離陸が新千歳空港で発生しています。
管制官が「すぐにテイクオフできるように準備せよ」と機長に伝えたものが、機長は「すぐにテイクオフできる」と誤解したことによるヒューマンエラーが生じました。
幸いにも、乗客や乗員にケガはありませんでした。
今回の羽田空港事故とこの新千歳空港事故はいずれも機長の誤解したことによるものです。
◆ 他のヒューマンエラー
企業や組織においても、恐らく皆様が経験しているヒューマンエラーが多くありませんか。
たとえば、オフィスでのデータ入力ミス、催事の年月日曜日間違い、製造現場では誤パーツの組付け、材料の誤発注、バルブの開閉間違い、医療の現場での投薬のミスなど、うっかり、勘違い、思い込みが日常的に発生しているようです。
また、人は手間のかかることを敬遠します。
たとえば、フォークリフトでヘルメットを着けることやシートベルトを着けることは作業ルールとして決められています。
しかし、数分間乗るのみで大丈夫と思い込みルールを無視するわけです。
そのような時にフォークリフトが転倒し、ケガになった事実があります。
◆ ヒューマンエラー防止策
ヒューマンエラーが発生するまでには、事前に何度か、※ヒヤリハットが起きます。
(※思いがけない出来事に「ヒヤリ」としたり、事故寸前のミスに「ハッ」としたりすること)
オペレーターには、日報などにそのヒヤリハット内容を記録させておくのです。
そして、管理者は、その日報に基づいてヒューマンエラーの予知対策のポカヨケ(対策)や作業手順マニュアル作成、スキルアップトレーニングなどを実施いたします。
もちろんヒヤリハットが日報に記入されない場合もあるため、管理者は現場作業の目視やヒヤリングをし、ヒューマンエラーの事前防止を図ることが必要です。
また、人はついついルールを守らず手抜きをしてしまいます。
管理者は、作業員になぜヘルメットを必ず着用せねばならないのかなどルールをきちんと説明しておき、事故防止につなげるべきです。
ですから、ヒューマンエラーを無くすことは、管理者の重要な仕事となります。
編集後記
名古屋市の条例で「エスカレーターは歩かずに」を昨年の10月1日より施行されました。
それには、罰則はありません。
名古屋市でエスカレーターに関連した救急隊の出動件数は、19年度に161件、20年度に96件、21年度で133件でした。
私は、エスカレーター右側のポジションに乗るように意識し、歩きません。
ヒューマンエラーによる事故とならぬよう、条例に従い、皆様もエスカレータ事故防止に協力願いたく思うのです。
(文責:経営士 三品富義)