新入社員の本当の育て方
2024/2/6配信
「実践経営講座 No.41」
新入社員の教育がテーマです。
新入社員の本当の育て方
◆ あなたにとって最大の顧客は誰か
新入社員の教育で最初にすべきことは何か。
それは、家庭や学校で学んでいないことを教えることです。
最初に教えるのは二つ。
「あなたにとって最大の顧客は、会社である」こと。
「あなたの賃金は、成果に対する報酬である」こと。
商売は、お金を払う側がお客様。
社員にとって、誰が一番の顧客かは明らかです。
賃金は、成果に報(酬)いる「報酬」であって、給わり与えられる「給与」ではありません。
賃金の源泉は売上総利益であり、生産性に応じ分配されるのが道理だからです。
顧客の満足度を高め、より大きな成果を得るよう努めるのは、会社も社員も同じ。
お客様との決め事、約束事を厳守しなければならないのは、会社も社員も同じ。
外にいる真の顧客から成果を得るには、まず内の顧客のニーズに答えることです。
あなたにとって最大の顧客は誰か、賃金は何の対価か、この二つをしっかりとマインドセットするのが新入社員教育のかなめです。
◆ ゴールデンエイジのマインドセット
では誰が、この二つを教えるのか。
できれば、社内の人事担当者より、社外の人材育成コンサルタントなどに託す方が効果的です。
第三者が教える方が、会社の考え方ではなく、社会での組織人の当たり前の心得として、腹落ちしやすいからです。
社長は、経営理念やビジョンを自ら語って伝える、コンサルタントは、第三者として組織人の心得を教える。
これが新入社員のマインドセットにおける、社長とコンサルタントの役割分担です。
また新入社員の上司に、誰をつけるかも大切な点です。
入社3年までの上司の影響が、その後の社員の成長度に大きく関わるといわれています。
ゴールデンエイジの新入社員には、手本となるマインドの整った上司をつけるべきです。
自律的な学習意欲は、顧客に評価され、成果を得られたときに強く芽生えるものです。
ゴールデンエイジのうちに、この体験を積む機会を作るのが、会社と上司の仕事です。
最大の顧客は誰か、賃金は何の対価か、この二つと経営理念に込められた思いを、最初にしっかりと教育し、その上で自律的な学習意欲を引出し、スキルを養わせたいものです。
日本では雇用と人材育成は、企業の責任とされ、こうした社会の雰囲気の中で育った若者を、「自ら考え、自ら行動できる人材」に育てることは、簡単ではありません。
それでも、自らマインドを整え、スキルを養い、成果を出せる自立した人間を育てることが、企業と社会にとっての、真の人材育成です。
社長が、人材育成も含め組織のマネジメントでマーケティングの時間を失うのであれば、実績を調べたうえで、コンサルタントを活用するのも一つの方法です。
編集後記
健康保険、厚生年金保険、介護保険料の半分は、会社が負担しています。
そのことを知らず、会社に差引かれていると勘違いしている会社員は意外と多いもの。
差引かれているのではなく、負担してもらっている、これも組織人に育てるためのマインドセットの一つです。
学校が教えない、当り前のことを教えるのが、新入社員教育かもしれません。
(文責:経営士 江口敬一)