社風改革の始まりは “あいさつ” から
2024/2/13配信
「続・コンサルの現場 No.42」
企業活動において5S(整理・整頓・清掃・清潔・躾)は必須の内容と言われています。
今回はその躾の「あいさつ」について考えます。
社風改革の始まりは “あいさつ” から
◆ あいさつは業績に関係する
A社を訪問すると、事務所全員が起立し「いらっしゃいませ」と歓迎の態度であいさつをしてくれます。
一方、B社を訪問すると、受付の対応のみです。
このAB両社は製造業で、A社は業績も良く不良品出荷もありません。
その点、B社の業績は横這い、不良品出荷もある状況です。
更にA社の製造現場へ行きますと、それぞれのオペレータがあいさつをしてきます。
それに比べ、B社の製造現場は、誰も、あいさつがありません。
当方から「こんにちは」とあいさつをするも、返ってくるのは、気まずそうに会釈のみでした。
あいさつは良好なコミュニケーションを生み、それがチームワークや生産効率の向上に結びつき、それが間接的に業績に影響を与えるものと思います。
◆ 企業は躾の教育が必要
更に、A社とB社の違いは何なのでしょうか。
あの教育学者の森信三氏は、人は「時を守り、場を清め、礼を正す」ことの三原則を唱え、企業人として必要なことを説いています。
これは、時間を守ること、社内を綺麗にしておくこと、あいさつをすることの意です。
しかし、最近この三原則をできない人がいます。
具体的には、会議に遅刻してきたり、整理・整頓ができていないため探し物が多いとか「おはようございます」「失礼します」などのあいさつができない人です。
A社を調べてみたところ、就業規則にこの三原則を記載し、管理者は自ら手本としてそれを守り、部下にも注意喚起し、守らせる仕組みができていることがわかりました。
このことから、企業は、この三原則の躾をする教育が必要なのです。
◆ 「あいさつからはじめようカイゼン」をスローガンに
一方、B社のあいさつができなくなっていた原因をB社長に伺ったところ以前より社内のコミュニケーション不足気味であったが、コロナ感染を危惧し、より社内の会話自粛の影響を引きずったためとのご意見でした。
そこでB社社長にこの状態を打開するため、今期のはじめにスローガンを考えていただきました。
そのスローガンは「あいさつからはじめようカイゼン」です。
社内の入り口にこのスローガンを大きく表示し、全体朝礼にて唱和しています。
従業員同志のあいさつがオープンなコミュニケーションを促進し、それが社内での情報共有や意見交換に繋がり、結果としてカイゼン活動に役立つとの考えです。
また、これを推進していくため、管理者から積極的にあいさつを行っていくことを必須条件としました。
管理者からあいさつを実施する方向付ができつつあり、少しずつ社内風土が変わっていければと思うところです。
編集後記
筆者が新入社員の際、5Sや三原則を知りませんでした。
当時、上司からトイレの下駄を揃えるよう耳にタコができるほど言われました。
その理由がわかったのは数年後です。
現役の方でもこの5Sとか三原則を知らないこともあるかと思います。
企業が生き残るかどうかの要素は多種多様ですが、一方面として、この5Sや三原則を教育(躾)して行くことも重要だと考えます。
(文責:経営士 三品富義)