夫子の道は忠恕のみ(論語)
2020/1/28配信
「中国古典から学ぶ経営 No.1」
今回は「論語」からの言葉です。
夫子の道は忠恕のみ(論語)
◆論語とは
論語は、2500年前の中国の聖人、孔子の言葉をその弟子たちがまとめたものです。
その教えは「儒教」として体系化されました。
中国「漢」の時代には儒教が国教と定められ、その文化は今でも中国に根付いています。
日本に儒教が渡って来たのは聖徳太子の時代だと言われていますが、江戸時代に広く読まれるようになりました。
ですから、日本の中にも儒教的な考え方は残っていますね。
明治時代に渋沢栄一が、「論語と算盤」でビジネスと論語を結び付けて説いたのは、慧眼だといえます。
◆言葉の意味
「夫子」とは、「立派な人」といった意味です。
「忠恕」とは、「誠実と思いやり」を指します。
ですから、この言葉は「誠実さと思いやりがあれば、正しい道を歩める」といった意味になるのでしょう。
この言葉は、孔子自身が言った言葉ではなく、弟子の曽子が言っている言葉です。
しかし、「忠恕」という考えは「仁」とともに「論語」の中核をなしています。
曽子と孔子との問答で「先生が人生で大切にすることは何ですか」と尋ねたとき、孔子は「私は一つのことを貫いてきた」と答えます。
それに納得した曽子は「分かりました」と応じますが、周りにいた他の弟子にはその意味が分かりません。
その弟子たちが曽子に「先生のおっしゃった意味は何ですか」との問いに答えたのがこの言葉です。
「忠恕」は、とてもいい言葉ですね。
◆経営に活かす
さて、この「忠恕」は経営にとっても非常に大切なことです。
お客様、従業員、取引先に思いやりを持って誠実に接すれば、繁盛するのは間違いありません。
とはいえ、経営者は忙しさにかまけて、ついついそんなことは忘れがちです。
それが原因でビジネスがうまく行かないこともあります。
心したいものですね。
編集後記
論語は2500年という時間を経ても、人々に影響を与え続けています。
人間の真理がそこにあるからでしょう。
一時は論語を否定した中国も、また論語を見直しています。
真理には勝てません。