日報でコミュニケーションをとる
2020/8/11配信
「コンサルの現場 No.11」
経営者や幹部が社員とのコミュニケーションに苦労をしている会社も多いです。
原因はいろいろあります。
経営者の方針や考え方が伝わっていないのも、その一つです。
逆に、経営者が社員の気持ちを分かっていないこともあります。
今回はその2つを簡単な方法で解決した事例です。
日報でコミュニケーションをとる
◆ 日報を書く
コンサルタントに相談のあった、町の小さな電器店を訪ねたときのことです。
どうも、社員の皆さんに覇気が感じられません。
社長とのコミュニケーションも、それほどうまくいっていない様子です。
コンサルタントは、課題を「コミュニケーションを良くする」に決定。
コミュニケーションを良くする方法はたくさんありますが、今回は、社員の皆さんに「日報」を書いていただくことにしました。
この会社では初めてのことですので、どんな書式が良いのか、どんな内容を書いたらいいのか分かりません。
◆ 日報の内容
そこで、コンサルタントは一人ずつA4用紙一枚に一日の報告を書けるフォームを渡して、それに書いてもらうようにお願いをしました。
内容は、ますその日に行った仕事を午前、午後、夕方以降に分けて箇条書きにしてもらいます。
その下に、仕事を通じて気付いたことを、「商品」「売場」「お客様」「その他」に分けて、これも箇条書きです。
これだけですので、慣れればそんなにむつかしい作業ではありません。
ところが、日報など書いたことのない人ばかりですから、皆さん戸惑います。
それでも、必ず毎日書いてもらうことを徹底しました。
提出された日報は、全部一冊のファイルにして事務所に置いておきます。
社員の誰もが読むことが出来ます。
提出された日報には、毎日社長が赤ペンでコメントを書くことをも義務付けていだきました。
◆ 日報の効果
すると、だんだん皆さんどんなこと内容を書けばいいのか、他人の日報を参考にするようになります。
社長のコメントを見ながら、仕事のポイントも押さえていくようになります。
朝礼では、ときどき日報に書かれた内容が話題になります。
やがて社員の皆さんは、メーカーさん、問屋さん、お客様と話をするとき、日報に書くことを意識するようになっていったようです。
「今日の日報には、このことを書こう」
そればかりではありません。
他の社員の日報に書いてあったことも、相手との会話に差し込まれます。
そして、半年を過ぎたころ、日報は会社にとってはなくてはならないものになっていきました。
日報を通じて、社員には経営者の考えが伝わり、経営者には社員の行動や考えが伝わるようになったのです。
会社の中の風通しも良くなりました。
まさに、コミュニケーションが良くなったのです。
日報は、決してバカにできないツールだと言えます。
編集後記
日報は続けるのが大変です。
経営者の根気が必要となります。
そして、日報を続けるカギは、社長のコメントです。
そのコメントで、社員のやる気が出ます。
ですから、社長はコメントの書き方も工夫しなければなりません。
また、日報から分かった問題点は、すぐに解決することです。
それによって、相互の信頼感が生まれます。
日報のコンサルタントがいるくらいですから、その重要性が分かるというものです。