イノベーター理論
2020/9/8配信
「ビジネス理論かんたん解説 No.12」
今回ご紹介するのは「イノベーター理論」です。
イノベーター理論
◆ イノベーター理論とは
どんな商品でも、いきなりヒットすることはありません。
また、毎日のように多くの新製品が市場に投入されますが、素晴らしい商品にもかかわらず市場に広がらないこともよくあります。
どうしてでしょうか。
スタンフォード大学エベレット・ロジャース教授が、「イノベーター理論」でその現象について説明をしています。
1962年に提唱された理論です。
それによれば、新製品の購入者は
「イノベーター」
「アーリーアダプター」
「アーリーマジョリティ」
「レイトマジョリティ」
「ラガード」
の5つの層に分かれます。
この5つの層それぞれに購入特性がありますので、その特性に合わせた打ち出しやマーケティングを行わないと投入した製品やサービスが売れない、というわけです。
◆ 5つの購入層と対策
では、その5つの層の特性と対策について簡単に紹介します。
「イノベーター」は革新者と訳されますが、新しいものを進んで採用する好奇心の強い人たちです。
ですから、市場にまだ普及していない製品やサービスを、たとえコストが高くても買います。
市場全体の2.5%の人たちが、イノベーターだといわれます。
「アーリーアダプター」は初期採用者です。
イノベーターほどではありませんが、流行に敏感で自ら情報収集をする人たちで、これから普及するかもしれない製品・サービスに目をつけて購入します。
この層はオピニオンリーダーやインフルエンサーともなり、市場戦略上最も重要な層です。
製品・サービスの具体的なメリットを訴えていく必要があります。
市場全体の13.5%の人たちです。
「アーリーマジョリティ」は前期追随者になります。
平均よりも早く新しいものを取り入れる人たちの層です。
情報感度は比較的高いけれど、購入には慎重な態度を示します。
有名人が使っていることを訴えると効果的です。
また、この層を開拓するにはアーリーアダプターをしっかりと攻略することが重要になります。
市場全体の34.0%を占めます。
「レイトマジョリティ」は後期追随者です。
新しい製品やサービスの導入に消極的で、周囲の大多数が購入しているのを見て同じ選択をする人になります。
この層を攻めるには、まずは普及率を高めることです。
そうすれば、購入に至ります。
市場全体の34.0%に当たる層です。
「ラガード」は遅滞者と言います。
流行や世の中の動きに関心の薄い保守的な人たちです。
その製品やサービスが世の中に定着しないと購入に至りません。
“定番”だということを訴えて攻略していくと、効果的です。
市場全体の16.0%になります。
ロジャースはイノベーターとアーリーアダプターを併せた16%の市場を超えることがその製品・サービスがヒットするかどうかの分岐点だと言います。
知っておくとよい理論ですね。
編集後記
アーリーアダプターとアーリーマジョリティの間には、「キャズム」と呼ばれる深い溝があると、コンサルタントのジェフリー・ムーアが唱えました。
これが「キャズム理論」です。
このキャズムを超えることが難しいので、新製品やサービスが途中で消えてしまうということが起こります。
この溝を超えるためには、思い切った投資が必要なのかもしれません。