マッキンゼーの7S
2020/12/22配信
「ビジネス理論かんたん解説 No.17」
今回ご紹介するのは「マッキンゼーの7S」です。
マッキンゼーの7S
◆ マッキンゼーの7S とは
マッキンゼーの7Sとは、1980年代にコンサルティング会社のマッキンゼーアンドカンパニーが提唱した、経営資源の分析手法です。
その分析をもとに経営改革をすることを目標としています。
企業の経営資源は、よく「人・モノ・金・情報」と言われますが、マッキンゼーはこうした従来の見方とは違った観点で経営資源を分析しています。
それが7Sです。
そして、それは「ハードの3S」と「ソフトの4S」に分かれます。
「ハードの3S」は、
- 組織構造(Structure)
- システム(System)
- 戦略(Strategy)
を指し、組織に関する要素です。
これらは、比較的変更がしやすく、コントロールしやすい特徴があります。
一方、「ソフトの4S」は、
- 共通の価値観(Shared Values)
- 経営スタイル(Style)
- 人材(Staff)
- 能力(Skills)
で、従業員などの人に関する要素です。
これらはコントロールするのが難しく、変更するのに時間がかかります。
以下、それぞれ簡単に分析内容を説明します。
◆ 7Sの分析内容
「ハードの3S」
< 組織構造(Structure) >
企業がどのように組織化されているか、ということです。
例えば、上司と部下の関係や、どの事業で誰がどのように指揮を取っているのかなどを分析します。
< システム(System) >
管理システムや情報システムなどの仕組み、給与体系や人事評価システムなどの制度の分析です。
< 戦略(Strategy) >
自社が競争優位に立っている理由や、優先的に解決しなければならない課題は何か、事業の方向性やどの分野にどのように経営資源を配分するかなどの戦略についての分析をします。
「ソフトの4S」
< 共通の価値観(Shared Values) >
7Sの核とも言える、会社での共通の価値観や理念のことです。
経営陣と従業員の間で浸透しているか、相違がないかなどをチェックします。
< 経営スタイル(Style) >
組織の経営スタイル、また社風といったようなものです。
トップダウンやボトムアップなど、意思決定フローの分析も該当します。
< 人材(Staff) >
単に「どんな人材がいるか」だけでなく、どのように人事を行っているのか、チームとしてのリーダーシップのあり方などの分析です。
< 能力(Skills) >
従業員個人の能力を分析します。
また、企業が持つ独自のスキル等や販売力、技術力、マーケティング力も分析要素です。
◆ 7Sの使い方
7Sの分析手法は中小企業などを分析する際や、組織改革についての経営指針を決定する際に非常に役に立ちます。
この7つのSの中で最も重要なのは「共通の価値観」ですが、全部をバランスよく改善強化していくことが必要です。
また、7Sはお互いがからみあっています。
例えば、「共通の価値観」必要な「スキル」や「システム」が定まっていくと、必然的にスキルやシステムに合わせた「戦略」や「組織構造」が決まってくるといったように、どんどん他の7Sの要素と関連していくということです。
それらをバランスよく改善していかなくてはなりません。
そして7Sをうまく使うには、まず最初にどのSから着手するか、その優先順位付けをすることが重要です。
ただし、着手しやすい「ハードの3S」から取り組むのはいけません。
ハードの3Sを重視してしまうとソフトの4Sがおろそかになりがちになってしまうからです。
強い会社を作るために、7Sがバランスの取れた経営を目指しましょう。
編集後記
組織を改革するために、7Sを活用している経営コンサルタントもいます。
しかし、使いこなすには熟練が必要です。
お互いにからみあった7S全部のバランスをとりながら改革をするのは、簡単ではありません。
さらに、コントロールのしにくい「ソフトの4S」を改善するには、かなりのコンサル能力が求められます。