パレートの法則
2021/4/6配信
「ビジネス理論かんたん解説 No.22」
今回ご紹介するのは「パレートの法則」です。
パレートの法則
◆ パレートの法則とは
イタリアの経済学者、ヴィルフレド・パレートが1897年に提唱した法則です。
「物事を構成する要素が全体に占める割合は偏りがあり、複数要素のうち一部で全量の大部分の割合が占められている」という考えを指します。
例えば、社会全体の上位2割が世の中の富の8割を保有しており、一方で8割の低所得者層は社会全体の富の2割しか占めていないというようなことです。
ですから、別名「80:20の法則」とか「ニイハチの法則」とか「最小努力の法則」とも呼ばれています。
◆ パレートの法則の例
世の中の現象を調べてみると、次のようなことがよくあるのです。
- 納税額の8割は、対象となる全住民のうち2割の富裕者層が担っている
- トラブルの8割は、全システムのうち2割に原因がある
- 成功した2割の人が富全体の8割を独占している
- 都市の交通量の8割は都市全体の道路の2割に集中している
また、企業や経営においても、次のような現象があります。
- 全商品の2割が売上全体の8割を作る
- 全顧客の2割が全体売上の8割を占める
- 有能な社員の2割が利益全体の8割を稼いでいる
- 機械の故障の8割は全部品のうちの2割に原因がある
- ・ソフトウェア利用者のうち8割は、全機能のうち2割しか使っていない
◆ パレートの法則の活用
ただし、この法則には科学的な根拠はありません。
しかし、調べてみると、そのような結果になることが多いことが分かるのです。
ですから、この法則を活用して経営の改善を図ることが出来ます。
例えば、「全商品の2割が売上全体の8割を作る」という現象から考えると、売上の多い上位2割の商品に集中して販売に専念すれば、効率的に売上を伸ばすことが出来るのです。
また、「全顧客の2割が全体売上の8割を占める」現象から、売上上位2割の顧客にターゲットを絞って営業をすることが、良い顧客戦略と言えます。
そして、「機械の故障の8割は全部品のうちの2割に原因がある」ことが分かれば改良すべき部品の上位2割を改良するだけで、全体の8割を改良したのと同じ効果が得られるのです。
このように、パレートの法則は、販売戦略だけでなく、顧客戦略や、商品戦略、品質管理などにも応用できます。
古い法則ですが、現在でもいろいろな場面に活用されている法則です。
編集後記
パレートの法則は、正確な根拠があるわけではありません。
調べてみたらこうなった、という経験法則です。
しかし、経営のさまざまな場面で見られる現象でもあります。
ですから、経営戦略や販売戦略に活かしている経営コンサルタントも多いのです。