お店の目標はあるか?
2020/2/25配信
「コンサルの現場 No.3」
昨今、後継者難の時代です。
しかし、優れた後継者もいます。
そんな後継者の一人から相談がきました。
携わったコンサルタントは、どんなアドバイスをしたのでしょうか。
お店の目標はあるか?
◆ 老舗の商店
地方都市にある老舗商店からメールが来ました。
20代の後継ぎの方です。
「最近商売が壁に当たっているので、どんな手を打ったらいいか」という相談でした。
何度かメールのやり取りの後、直接会って話をしましょう、ということになります。
◆ 立派な方針書
会ってみると、お店の立派な方針書があるではありませんか。
「どんな商品を売っていくか」
「どんなエリアを攻めていくか」
「どんなお客様に売っていくか」
「どんな方法で売っていくか」
「お店のどんな強みを活かしていくか」
といったことが列記してあります。
「う~ん」悪くはありません。
よく考えられています。
詳しい説明を聞くと、なかなか勉強家で熱心な方です。
しかし、この方針書には大事なことが抜けていました。
◆ お店の目的、目標は?
そこで、聞きました。
「あなたは、どんなお店になりたいのですか?」
そして、「何のためにお店を経営しているのですか?」
若武者はちょっと考えていましたが、曖昧な答えでした。
私は、その答えを出してから販売戦略を考えられた方が良い、というアドバイスをしました。
そして、こう付け加えました。
「売り方や商品も大切ですが、お客様との関係づくりをすることが、もっと大切です」
「お店の思いに共感していただけるファンを作っていくことが業績アップの最大の近道です」
その日は、私の話を素直に聞き入れられて、お帰りになりました。
◆ 後継ぎの方の便り
その後、こんな便りをいただきました。
「そういったものが重要だとわかっていましたが、どうも、わかったつもりでいたようです」
「改めて、自社の理念を考え、それを軸にファン作りに力を注ぐようにしました。
今は理念があるためブレなくなりました」
「先生にお会いしていなければ、“儲かる”という手法に振り回されていたでしょう。
本当に感謝しております」
このお店は、もう大丈夫です。
やるべきことが明確になりました。
きっと何年か先には、県下でも有数なお店に成長することでしょう。
編集後記
企業経営は、まず全体像を明確にすることです。
そして、必ずおさえておかなくてはならないことがあります。
それが「企業のあるべき姿」です。
方向性と言っても良いでしょう。
それが決まっていれば、戦略・戦術が時代によって変わっても経営そのものはブレません。