キャズム理論
2021/9/21配信
「ビジネス理論かんたん解説 No.30」
今回ご紹介するのは「キャズム理論」です。
キャズム理論
◆ キャズム理論とは
キャズムとは「溝」のことです。
毎年おびただしい数の商品やサービスが市場に登場します。
その導入期ではうまくいったのに、やがて市場から姿を消してしまうモノが多いです。
どうしてでしょうか。
それは、初期の市場とそれ以降の市場の間には「キャズム(溝)」があるからだと、コンサルタントのジェフリー・ムーア氏が1998年に提唱しました。
キャズム理論はそのキャズムを乗り越えるための方法を示したものです。
◆ キャズムが生まれる原因
キャズム理論の前提になるのが「イノベーター理論」です。
これは、皆さんご存知でしょう。
簡単に言いますと、新しい考え方やモノは、
イノベーター(革新者)
↓
アーリーアダプター(初期採用者)
↓
アーリーマジョリティ(前期追随者)
↓
レイトマジョリティ(後記追随者)
↓
ラガード(採用遅滞者)
の順に普及をしていくという考えです。
キャズム理論は、そのアーリーアダプターとアーリーマジョリティの間に深い溝があり、それを乗り越えるのが難しいことを指摘しました。
ですから、市場の導入に成功しても、その後市場から消えていくことになるのです。
その理由は、初期購入者(イノベーター、アーリーアダプター)と、それ以降の購入者とでは、購入動機が違っているからです。
つまり、初期購入者は「新しさ」を優先します。
一方、それ以降の購入者は「安心」を優先します。
この二つの間では、商品・サービスの訴え方を変えなければなりません。
それをうまく出来ないことが、キャズムを乗り越えられない大きな原因です。
◆ キャズムを超える方法
では、どうしたらキャズムを乗り越えられるでしょうか。
そのためには、商品・サービスを「目新しいモノ」から「安心して使用できるモノ」に訴求方法を変える必要があります。
例えば、有名人が使っているとか、権威ある機関からお墨付きをもらったとか、購入者の大部分が満足しているとかです。
そして、キャズムを超えるポイントは3つあります。
1つは、市場導入の初期段階では、導入直後に「先進性」を強調することです。
徹底的にイノベーターやアーリーアダプターを狙います。
次に、アーリーマジョリティに対し、新しさだけでなく「使いやすさ」を訴えます。
その時に意識することは、「実績を示すこと」「具体的な数字をアピールすること」「購入リスクを抑えること」です。
3つめは、キャズムを超えるために、思い切って資金を投入する必要があります。
例えば、CMの集中投下などです。
メルカリやスマートニュースは、キャズムを超えた良い例と言えるでしょう。
編集後記
DXの時代では、ますますデジタル技術が進化していきます。
そんな時代には、キャズム理論を知っていると役に立ちそうです。
そして、キャズムを超えるには、戦略だけでなく勇気も必要かもしれません。