経営コンサルタント 基本のキ
2024/3/19配信
「実践経営講座 No.43」
経営コンサルタントの基本スキルと専門スキルがテーマです。
経営コンサルタント 基本のキ
◆ 経営コンサルタントの基本職遂能力
「経営コンサルタントの基本スキルは何ですか」
コンサルタントを目指している方からの、よくある質問です。
定性的な質問で、視点によって答えはいくつもありそうですが、筆者の場合「中期経営計画と経営管理のフローと関係性を理解する能力」と答えています。
スキル(職務遂行能力)には、基本スキル(基本職遂能力)と専門スキル(専門職遂能力)の2つがあります。
経営コンサルティングでは、クライアント企業の事業や経営の全体像を捉えることが、前提となります。
中期経営計画は、経営目的である企業理念やビジョン、事業ドメイン、3~5年後の達成目標と計画を示すものです。
経営管理は、経営資源の分配や部門間の連携を調整し、全社目標達成に向けて、中期経営計画の遂行と進捗をコントロールする、目標管理のことです。
そのため中期経営計画と経営管理のフローと関係性を読む力が、クライアント企業の全体像を捉える、最低限の基本スキルとなる理由です。
中期経営計画のフロー
経営理念→ビジョン→事業ドメイン→中期経営計画→数値計画→アクションプラン
経営管理のフロー
月次目標管理→4半期目標管理→半期目標管理→年度目標管理→3~5カ年目標管理
◆ 経営コンサルタントの専門職遂能力
中期経営計画の策定を支援するのが、経営戦略系コンサルタントです。
現状分析、ビジョンと事業ドメインの明確化、目標設定と達成計画、経営計画書の作成など、社長の中期経営計画作りのサポートに特化した、コンサルタントです。
経営戦略系コンサルタントには、経営理論だけでなく、分析やフレームワーク能力、戦略オプションの提供力、文章力も含めたプレゼン能力などの専門スキルが要求されます。
開発、生産、販売や財務、あるいは業務改善、人材育成などに特化した専門職遂能力で、経営計画の進捗をサポートするのが、経営管理系コンサルタントです。
経営管理とは、経営計画の進捗度に合わせ、部門間の連携や調整、経営資源の分配、戦略の修正を行うことです。
月次目標管理をベースに、3~5年後の全社目標を達成するために、中期経営計画に従い開発・生産・販売計画の進捗を管理します。
経営管理は、経営計画の策定とともに、社長の重大な職責であり、専門スキルで社長の経営管理を支えるのが、経営管理系コンサルタントの役割です。
◆ 経営コンサルタントの生業(なりわい)
経営戦略系であれ、経営管理系であれ、中期経営計画と経営管理のフローと関係性を理解する基本スキルに欠けていると、折角の専門スキルも活かしきれません。
経営計画策定に長けていても、経営管理に疎ければ、計画が絵に描いた餅になりかねません。
特定部門の経営管理に長けていても、経営戦略の理解度が低ければ、他部門との連携や調整がきかず、経営計画の進捗に支障をきたすこともあります。
経営コンサルタントを生業とするなら、まずは事業と経営の全体像を捉え、全体の関係性、文脈の中で、自身の経営コンサルティング能力を発揮できる、ポイントとポジションをよく考察することです。
編集後記
経営計画の策定も経営管理も、社長にしかできない社長の仕事です。
経営コンサルタントの仕事は、あくまで経営計画の策定や経営管理の支援です。
ダメコンとプロコンの違いは、「社長とコンサルタントの役割」の理解の相違かもしれません。
(文責:経営士 江口敬一)