PM理論
2021/3/16配信
「ビジネス理論かんたん解説 No.21」
今回ご紹介するのは「PM理論」です。
PM理論
◆ PM理論とは
社会心理学者の三隅二不二(みすみ・じゅうじ)氏が1966年に提唱したリーダーシップ理論です。
三隅氏は1960年代から1980年代にかけて、ビジネスの現場で15万名以上の調査をし、優れたリーダーの行動パターンを究明しました。
この理論ではリーダーシップの類型が4つに分けられており、自分がどんなスタイルのリーダーかということを検証することができます。
三隅氏は、リーダーの果たすべき能力を2つに分けました。
一つは集団の目標を達成する能力で、「P機能」と名付けられます。
もう一つは集団を維持する能力で、それが「M機能」です。
つまり、P機能は目標設定や計画立案をしながら部下を叱咤激励して目標達成をすることに重きを置いたリーダーシップを言います。
一方のM機能は、部下とのコミュニケーションを図りながら目標達成をすることに重きを置いたリーダーシップです。
そして、リーダーシップは、P・Mの強弱により4つの型に分かれるとしました。
◆ 4つの型
1)PM型
P機能M機能ともに強いリーダーのタイプです。
仕事の目標達成にもチームの調和にも強い意識をもって行動しているリーダーを指します。
2)Pm型
P機能が強くM機能が弱いタイプです。
仕事の目標を達成する意識と行動は強いですが、チーム全体の調和やメンバーへの関心が弱いリーダータイプになります。
仕事に対して厳しく、グループをまとめるのが苦手というタイプですね。
3)pM型
P機能が弱くM機能が強いタイプのリーダーです。
チーム全体の調和やメンバーへの意識と行動は強いけれど、仕事の目標達成をする意識が弱いリーダーの型を言います。
部下の面倒見がいいので、人気もそこそこあるものの、業務面での甘さが見られるタイプです。
4)pm型
P機能M機能ともに弱いタイプです。
仕事の目標達成にもチームの調和にも、意識と行動が弱いリーダーです。
このタイプは、リーダーとしての適性に問題があります。
お分かりのように、この中で最も良いリーダーシップの型はPM型です。
あなたやあなたの周りのリーダーはどのタイプのリーダーでしょう。
◆ リーダーシップの向上
では、リーダーシップは向上させることができるのでしょうか。
三隅氏は、こう言っています。
「自分のリーダーシップは日々新しく変化し、向上しているか、または低下しているのであって、それを敏感に感じとる感性がリーダーとしての第一条件である」
そうなのです。
リーダーシップの向上には、「感性」が必要だと言っておられます。
ですから、その判断基準として、P機能とM機能があるわけです。
つまり、今自分が発揮するべきリーダーシップは、P機能に重点を置くのが良いのか、それともM機能に重きを置くかということを感じなければなりません。
そして、グループの成果を上げるにはどちらの機能を強めるといいかということを自問自答し、修正していくためにPM理論があります。
また、現状では自分はどの型に近いのかを分析し、弱い部分を強化していく指針となるのがPM理論です。
いずれにしても、目指すはPM型のリーダーになります。
最も成果があげられるリーダーだからです。
編集後記
グループのリーダーになるような人は、どうもそんな雰囲気を持っています。
P機能にしろM機能にしろ、メンバーがそれを強く感じるのでしょう。
このリーダーシップというのは、なかなか教えて身につくものではない気がします。
それがリーダーの人間力というものかもしれません。