どうしたら製品を市場に流せるか
2021/3/30配信
「コンサルの現場 No.22」
物を作って売るというのは、簡単ではありません。
製品アイデアを持っている人は、それを形にします。
自分では「良い」と思っている商品ですので、売れるはずだと信じています。
そこで自分なりに流通ルートに乗せようと頑張りますが、そうはうまく行きません。
今回は、そんなメーカーさんからの相談事例です。
どうしたら製品を市場に流せるか
◆ メーカーさんからの相談
私のもとへは、小売店さんばかりでなく、メーカーさんもご相談に来られます。
その用件はさまざまですが、業界の流通構造を知りたいという相談が多いです。
効率よく業界に参入して流通ルートに乗せられる方法を知りたいようです。
ですから、一番のご相談は、どうしたら自社製品を小売店さんに扱ってもらえることができるか、ということになります。
モノづくりと販売は別物ですから、ご相談はもっともです。
中には、私に販売の手伝いをして欲しいというメーカーさんもいらっしゃいました。
しかし、販売の手伝いというご要望には、お断りすることにしています。
◆ 私の役目
経営コンサルタントとして、経営計画書の作成や販売戦略立案のお手伝いはしますが、営業のお手伝いは私の仕事としていないからです。
情報を提供することと方向付けのアドバイスをするのが私の仕事ですとお伝えすると、ちょっとがっかりされる方もいます。
そうした方は、きっと市場に参入ができてもビジネスはうまくいかないでしょう。
なぜなら、楽をして商品を売りたいと思っておられるからです。
いずれにしても、相談に来られた方には、業界に参入するときの壁についての説明をします。
すると一様に「業界の構造や習慣が良く分かりました。大変参考になり感謝します」と言われます。
ところが、ほとんどの方がそこで終わりです。
なかなか次のステップに進むことができません。
自分で業界に売り込みにいっても、なかなか取り扱ってくれないのです。
◆ その前にやるべきこと
それはそうでしょう。
よほどユニークな商品で、誰もが欲しがるだろうという商品ならば、問屋さんも小売店さんも喜んで扱ってくれます。
ところが、私のもとに持ち込まれる商品に、そのような物は少ないです。
結局は、メーカーさんの自己満足のような商品が多い気がします。
そうした商品は、市場に売り込みをする前にやるべきことを行う必要があります。
それは、しっかりとした戦略に基づく事業計画書を作ることです。
この手順を踏むことを面倒だと思われるメーカーさんは、よほどの幸運に恵まれない限り、事業は成功しません。
残念ながら、真剣にこの作業に入られるメーカーさんは少ないです。
それはそれで良いと思っています。
本気ならば、私の話を聞いて行動をするはずです。
この最初の壁を越えられなければ、次の壁はもっと越えられません。
ですから、その壁をお伝えできただけでも、私の役目が果たせたと思っています。
新しい商品で業界に参入するには、余程の覚悟と本気度が必要なのです。
編集後記
相談に来られたメーカーさんの何社かは、「WBSトレたま」でも紹介されました。
ところが、その後大量に売れたという話は聞きません。
商品アイデアが良いだけでは売れないのです。
そこには綿密な戦略が要ります。
それでも売れる保証はありません。